【感想】「子どもの脳を傷つける親たち」。子どもと関わるすべての人に読んでほしい。

 

友田明美著「子どもの脳を傷つける親たち 」を読みました。

 

 

虐待が脳に与える影響、虐待の種類によって影響を与える脳の部位が異なることなど、たくさんの驚くべきことが書かれていました。

 

そこで今回は、本書について書いていきたいと思います。

 

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虐待が子どもの脳を傷つける

 

虐待といっても様々な種類があります。

 

  • 身体的虐待
  • 精神的虐待
  • 性的虐待
  • ネグレクト などです。

 

その中でも現在の日本で多いのは、DVの目撃や言葉の暴力による精神的虐待らしいです。

 

普段メディアなどで取り上げられる虐待としては、身体的虐待やネグレクトが多いです。

 

そのため、精神的虐待が最も多いというのは意外でした。

 

 

虐待の種類により異なる、傷つく脳の部位

 

そして、虐待の種類によって脳の傷つく部位は異なるようです。

 

身体的虐待であれば、「痛みを伝える神経回路」がある前頭前野が萎縮し、

 

性的虐待であれば、視覚野の容積が減少、

 

言葉による暴力であれば、聴覚野の容積が増加。

 

 

というように。

 

 

自己防衛として脳の変形が起きる

 

ではなぜ、脳の変形が起きてしまうのでしょうか。

 

 

それは、脳がその環境に適応し自分を守ろうとするためなんだそうです。

 

たとえば、

身体的虐待であれば、「痛みを伝える神経回路」がある前頭前野を萎縮させることで、体罰によってもたらされる痛みに鈍感になるように適応しようとしていますし、

 

性的虐待であれば、視覚野の容積を減少させることで、性的虐待によってもたらされる苦痛を伴う記憶を脳内に留めておかないように適応しようとしているんです。

 

 

虐待の原因が親や教師だった場合、最も身近で頼りにできるはずの存在から助けを得られないということになりますよね。

 

すると、子どもは自分の力でなんとかするしかありません。

 

その結果、自己防衛として脳が変形してしまうそうなんです。

 

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精神的虐待の残虐性

 

そして、子どもの脳を最も深く傷つけてしまうのが精神的虐待だそうです。

 

身体的虐待やネグレクトを受けた人よりも、親のDVの目撃、そして、言葉の暴力を日常的に受けた人の方がトラウマ状態が深刻だったそう。

 

 

そして、精神的虐待は身体的虐待やネグレクトと比べて外からは分かりづらいものです。

 

本人が心の奥底へしまい込んでしまえば、周りが知る機会はほとんどありません。

 

それに、言葉の暴力を日常的に受けてしまうことで、自尊心が育たなくなることもあります。

 

また、子どものころというのは、家庭と学校が自分の世界のほとんどを占めています。そのため、それを基準に生きてしまい、「これが普通なんだ」と思ってしまっていることも多いです。

 

そのため、適切な治療を受けることなく、その後長い年月をかけてじわじわ当事者を苦しめるようになっていくものでもあるんです。

 

脳の傷に気づかないままに大人になってしまう人も多いんです。

 

 

そしてそれが社会の中での生きづらさにつながってしまったり、

 

ある日突然何かのきっかけで、うつやパニック障害など、表面化してしまうこともあるんです。

 

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負の連鎖

 

そしてそれらの虐待というのは、親の代やそれまた上の代から連鎖してきている場合も多いそうです。

 

親自身が、幼い頃から言葉の暴力を受けて育ったり、兄弟間での差別、男女間での差別、理由を説明されずに怒られたり、

 

そのような環境で育ってきたからこそ、同じように自分の子どもにも接してしまう。

 

そしてそれに気づかぬまま、また下の代へと連鎖してしまう。

 

負のループに陥ってしまうんです。

 

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おわりに

 

虐待によって子どもの脳が変形してしまうなんて、なんて恐ろしいことなのだろうと感じました。

 

しかし同時に、兄弟間での差別、理由のない叱りつけ、言葉の暴力など、

 

どんな人であっても気づかないうちに、もしかしたら子どもの脳を傷つけてしまっていることはあるのかもしれないなとも感じました。

 

私自身、それらを受けてきた身だからこそ、負のループは自分の代で断ち切らねばならないな、とも思いました。

 

 

子どもと関わる全ての人に、ぜひ一度、読んでもらいたい作品です。

 

子どもの脳を傷つける親たち

 

 

ここまで読んでくれてありがとうございました。

 

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